“子どもの「泣く理由」がわかる本” 阿倍秀雄さんから学ぶ

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ACA(Australian Counselling Association)認定のカウンセラー中沢牧子さんが、ご自身のホームページでペアレンティングに関する情報などを発信されています。その中に 阿倍秀雄著、“子どもの「泣く理由」がわかる本” についての下記のような記事がありました。

(以下、中沢牧子さんのHPより抜粋)

 

泣くことの働き

欲求を伝達して存在感を築くこと 次のような小学3年生のスミレちゃんの お話が書いてありました。

ゆうべ、スミレが見ていたアニメがとっても暴力的だったので、“見ないで欲しいな”と言ったら、 泣いてしまいました。 ... 中略 ... でも、本当にみて欲しくないなあと私は思っているので、アニメの事はこれからどうしようかと悩んでいます。

“たかがアニメくらいの事で、どうして泣くの?”
“3年生にもなっているんだから、ちゃんとわかるように言葉で話なさい”
と言いたくなりますか?と阿部さんは問いかけます。どう思いますか?

大人になっても、せっぱ詰まったときには泣くじゃないですか、と阿倍さんに問いかけられそのとおりだなぁと思うのは私だけでしょうか?

阿部さんの分析は、
“アニメ見たいよ。見せてよ。”という欲求を伝えたかったからスミレちゃんは泣いた、という事になります。スミレちゃんはその欲求を率直に伝えたのです。
“友達だってみんな見ているんだよ。もし私だけ見なかったら仲間はずれになっちゃうよ”と必死に伝えたかったのかもしれません。

子どもは泣くことで大切な欲求を親に伝えるんですね。泣くことを受け入れてもらった子供、欲求を聞いてもらった子どもの内面では何が起こるのでしょう?阿部さんの言葉を借りれば、自信や安心感や自己肯定感といったしあわせな成長の根っことなる部分が育ってくのだそうです。

どうも泣く事の働きは言葉の働きに似ているようです。正確に伝えるという点では言葉に劣るとしても、相手の気持ちを揺さぶるという大きな強みを持っているといえるでしょう。

 

言いなりにならない、でも泣くことを禁じない

前回子供が泣くことで大切な欲求を伝えていると学びました。

でも、そのお願いを全て聞き届けるかどうかはまた別問題、と阿倍さんは言います。
子どものためにならない、親としてこんなことは身につけないでほしいと思えば聞けない事だってあります。泣いたからって子どもの言いなりになっていたら、子どもをわがままにしてしまいます。だからつい
“わがままを言うな”“聞いてもらえないからって泣くな”と言ってしまうんですね。でも、そういう場合であっても、子どもが自分の意思を伝え、感情を味わう事は大切な事ですから、
“これこれこういうわけで、そのお願いは聞くわけにはいかないのよ”
と説明して、言いなりにならなければいいのです。
簡単そうで難しいですよね。なぜ難しいのか自分の心、小さい頃の思い出をたどってみてください。

“泣いてばかりいないで、言葉でちゃんと言いなさい”
と言うこともありません。ひと泣きして胸のつかえが取れれば、改めて言葉で言えるようになります。幼児には言葉で表現するのはまだ一寸無理かもしれませんね。でも泣いて胸のつかえが取れる事が大切で、充分だと思います。

 

傷ついた心を涙が癒す

アニメを禁止されそうになったスミレちゃんが泣いたもう一つの理由は、“もし見られなくなった場合の事を思ったら、悲しくて、悲しくてたまらない”という気持ちからです。… 欲求が満たされない場合の事を想像すると “悲しい” 感情ストレスが膨れてきます。パンパンに張り詰めた感情をそのまま放っておくとますます苦しくなりますから、解き放つしかありません。 (25頁)

泣く時私たちの中で何が起こっているのか、阿部さんのわかり易い説明を紹介します。

欲求=友達も見ている番組を見たい

感情=見られなかったら悲しい

感情=見られなかったら悲しい

泣く=見たいよと伝える&見られない悲しみを解放する

 

次の問いかけをどう思いますか?

“私たちおとなは、泣くという行為そのものがかわいそうなこと、と思いこんではいないでしょうか?だからこそ、子供に泣かれると居ても立ってもいられなくなるのではないでしょうか?”

もう二つ例を引用します。

1.転んで泣いている子ども

欲求=安全に過ごしたい

感情=転んでびっくりした

泣く=慰めを求める、びっくりしたよという感情を開放する

 

2.赤ちゃんがお空腹で泣く

欲求=空腹を満たしたい

感情=空腹による苦痛

泣く=空腹の苦痛を伝える、感情ストレスを発散する

泣く=悲しい のではない、という点が見えてきましたか?悲しい感情はすでにあり、伝達、解放の手段として泣くんですね。とすると、泣かない子の方が心配なのかもしれません。

伝達(コミュニケーション)というのですから相手に伝えたいわけです。受け止めてもらう意味は大きいですよね。受け止めてもらった心地よさ、それによって治癒力が働く(悲しみ、悔しさが消える)だけでなく親との絆をより深めているのだそうです。

そうわかっても、甘え泣きを子どもの頃に経験してこなかった親にとっては子どもの泣き声を受け止めるのは難しいことのようです。あるお母さんは1年かかったと本に紹介してありました。

 

子どもの自立心を支える

正直なところ、初めは泣くことと自立心がどう関係するのかと思いました。

“時には、頭では納得しながらも心が納得しないために気持ちがあふれてきて、泣いたり怒ったりすることがありますが、そうした子どもの感情表出を親が心と体で受けとめてヨシヨシしてやる事で、子どもも心から納得して、未練を断ち切る事ができるようになるのです。” (42頁)

泣くことにより心から納得して未練を断ち切るという経験の繰り返しが、自分で答えを見つけられるという“自立心”につながるようです。私たち大人が「頭では分かっているんですけれどね…」と葛藤するのと同じなんですね。でも子どもは頭でわかっていることを表現しないので、外からはただ泣いて聞きわけがないように見えるんですね。

そうわかっても‘聞き分け’に至るまで泣くわが子を受け止める親の葛藤がありますね。往々にして、親が意思を貫けなくなってしまいます。でも、子どもの言いなりになってしまうと子どもの自立心が育たなくなってしまいます。それどころか、感情のストレス発散のチャンスを逃してしまうんです。

泣きたい気持ちを受け止めてもらえなかった子どもは、自己主張が強くなる、と言うより、無理難題を持ち出してくるようになるので、“くれぐれも、泣くから言いなりになってしまう、ということのないように。親と子のあいだの葛藤を安易に避けてしまうとその場はラクですが、いずれはしっぺ返しが来ますから、手間を惜しまないようにしましょうね”と阿部さんの忠告です。(43頁)

リヨン社から出ている“子どもの「泣く理由」がわかる本”を是非お読みください。

 

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