パース補習授業校校長先生から虹の会ニュースレターに寄稿頂きました

 

22親子なすび

この度は、パース補習授業校校長ということで、寄稿の依頼を頂きました。実は、最初の原稿は「国語教育の理念とは人間教育の要であり...。」というようなことを書いたのですが、どうも裃をつけて話をしているような感じになってしまうので、そちらは、いつか何かの挨拶に使うとして、今回は小さいお子さんをお持ちの方向けに、もうちょっと肩の力を抜いた本音の話をします。

小生は、教育者であるともに、二人の小学生の子供を持つ一人の父親です。教育のプロだからさぞ上手に子育てしているだろう、なんてことはなく、学校の保護者の皆さんと同じ子育ての悩みや喜びを抱えています。また子供たちが特別に優秀と言う事もありません。あまりに期待してみても、所詮は自分の子供です。「親子鷹」ならぬ、「親子なすび」くらいなもんです。だから、自分の能力でできるところまで一所懸命努力してくれればいいと思ってます。 さて、小生は家内がオージーであるため、多くの国際結婚のご家庭と同じく家庭内では英語と日本語ですが、家庭内で2ヶ国語を使うことを定着させるのは、ご家庭の環境や教育方針の違いもありますし、特に配偶者の方の十分な理解が必要で思いのほか大変だと思います。

こういう家庭環境でのバイリンガル教育と言うのは、もちろん子供の将来の為でありますが、もう一つは円滑な親子関係、つまり家庭内のパワーバランスを維持する為でもあります。 子供は小さい頃から英語で生活をしているわけですから、英語の能力は必ず近いうちに完全に私を超えます。しかし、ここで将来「お父さん、英語下手だね」などと上から発言をさせない為に「いいか、お父さんは日本人でこちらで教育を受けていないんだから、英語が下手なのは当たり前だ。むしろ、お前たちはお父さんの日本語をもっと理解できるようになれ。」と言い含め、家庭内でのお父さんのアイデンティティーを子供たちに認めさせようとしている訳です。家内もしかりで、彼女は日本語はわかりますが、あえて英語を話しているのは同じ理由です。

かし、ただ虚勢を張っているだけでもダメで、私は時々、あえて小学生の息子たちに「おい、これスペルは正しいのか?」なんて聞くことがあります。本当は、そんなものパソコンの辞書を調べれば一発でわかるのですが、私はわざとそういうふうに聞くということで、彼らに二カ国後を話すということがどれくらい価値がある事かということや、英語圏から来た人以外に対する思いやりとか、そういう人たちの尊厳を考えるきっかけになって欲しいと思っています。
また、子供たちと何か同じ経験や趣味をシェアするのも大切な事です。小生は子供達と共に剣道の稽古にはげんでいますし、英才教育と称して一緒に日本のお笑い番組やアニメを見たりしています。こういった中でも、小生が子供たちに教えてあげられる事は沢山あるからです。 やはり子供たちには日本語で伝えたいことがあります。ある程度の年齢になると、日本語を話すのが面倒くさくなったり、恥ずかしくなったりすることもありますが、小さいお子さんをお持ちのご家庭はここで諦めずに、あの手この手を使ってがんばって頂きたいと思います。

ニュースレター3月号より抜粋

福本 智晴 著

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